南井三鷹の竹林独言

汚濁の世など真っ平御免の竹林LIFE

アメリカ覇権の終わり

花粉症がきついこともあって、時事問題について書く虚しさに勝てずにいたが、
アメリカとイスラエルが本格的にイラン攻撃に踏み切ったことについて、嫌々ながら書き残しておこうと思う。

多くの識者が最近のアメリカの軍事行動について語っているのを目にしたが、
どれも問題の核心に触れていないという印象を持った。
本気でわかっていないのか、言いたくないのかわからないが、
僕が恐れずに問題の核心を口にするならば、次のようになる。
覇権国アメリカによるグローバル資本主義の世界支配が終わりを迎えている。
資本主義万能の時代が本格的に終わろうとしているのだ。
つまり、今は世界的なパラダイム移行期にある。
その変化に抵抗して「栄光の過去」を追い求める老害じみた人々の心理によって、世界情勢が混沌に落とし込まれているのだ。

トランプがやっていることのほとんどが、アメリカの衰退をごまかそうという意図に貫かれている。
世界のトップにいた覇権国が落ち目になり、次点に位置していた国が相対的に力をつけてくるとどうなるか。
覇権国はその流れをストップしようとするだろう。
かつての一流アスリートが肉体の老化を押しとどめて、伸び盛りの若手選手に挑むかのような図式だ。
それは時の流れに戦いを挑むことでもある。
世代交代を否定して衰退や老化を止めようとすることは、時間経過や未来を否定することに等しい。
つまり、トランプ政権の本質は、世界から「未来を奪う」ことにあるのだ。

日本では目下トランプや高市の権威にくっついている対米家畜勢力=「アメポチ」どもがネットで調子に乗っているが、
時の流れを待っていれば、そう長くないうちに彼らの天下は終わりを迎える。
僕がそう予測するのは、「時間との戦い」に人間が勝つことはないからだ。
いくら金の力で何でも欲望を実現する資本主義でも、人間から死を奪うことはできない。
むしろ、多くの死によって復讐されることになるだろう。

軍事大国アメリカの現状を冷静に考えてみてほしい。
国際法を無視して、経済崩壊国家ベネズエラの大統領ごときのために軍事作戦を仕掛け、
戦争ジャンキーのネタニヤフと手を組んで、イランを不意打ちして泥沼の戦争を始めている。
さらに今度はキューバが標的だと嘯うそぶいたりして、「力による現状変更」を積極的に行っている。
アメリカ属国政権の高市はこのような「外国人によるルール破り」を支持しているが、
これまで北方領土や竹島や東シナ海について「力による現状変更」を認めないと言って批判してきた日本が、
相手がアメリカであれば批判しないというのであれば、大義名分としての論理が立たない。
それなら周辺の領土問題はもちろん、中国が台湾の総統に対して電撃的な軍事作戦を行っても、このスタンスでは批判できなくなるのではないか。

高市とそれを支持するアメポチ連中は、情報収集力と思考力に欠けているので、やれ台湾有事だと騒いだり、中国が日本に攻めてくるなどと妄想を語っているが、
トランプが台湾攻撃の正当性を与えてくれても、今のところ中国人民解放軍が台湾に対して軍事行動をとる気配はない。
それがなぜだか僕には想像できるのだが、このことを語る言説を「軍事研究」の一部記事以外では見たことがない。
だから僕がここでハッキリ言っておこう。
中国は今すぐ焦って台湾攻撃をする必要はないのだ。
なぜなら、時間を待てば待つほど東シナ海での軍事的プレゼンスは、日米より中国の方がどんどん優勢になっていくからだ。
つまり、このままにしておくだけで、アジア支配において日米は中国に負けることになる。

アメポチの日本マスコミは、この現実を隠すことに必死になっている。
そもそもトランプが言う「ドンロー主義」だって、世界全体の支配を諦めて東半球を中露に譲り、アメリカは西半球だけの支配で我慢すると言っているようなものだ。
(こういう撤退戦略のどこがMAGAなのだろうか)
落ち着いて観察すればわかることだが、トランプ政権下のアメリカはロシアや中国に対してはからっきし腰抜けでしかない。
この事実を踏まえれば、トランプのやっていることの一貫した意図がわかる。
中国がアメリカと肩を並べる前に、中国に原油を供給しているベネズエラとイランを叩いて、中国の支配圏拡大を少しでも遅らせよう、という狙いだろう。
これは僕自身の考えでしかないが、ネットで検索をかけたら、すでに同様の指摘をした記事をいくつか見つけることができた。
(CNNの記事によると、ベネズエラ産の原油の50%、イラン産の原油100%近くが中国に供給されているようだ)
トランプが時間を惜しむかのように戦争を立て続けに行っているのは、トランプの寿命と同じように、アメリカが覇権を維持できる時間が残り少ないからなのだ。



しかし呆れたことに、保守もどきのアメポチや左翼的と目されている知識人の多くは、世界のパワーバランスの変化がよくわかっていない。
わかっていれば、アメリカが東アジアの防衛に手を貸す余裕などないことが理解できるはずだ。
アメリカの本音としては、極東に関しては日本メインで中国と対峙してアメリカの利権を守ってほしいというところだろう。
だから、アメポチのポピュリズムに媚びて高市などを首相にしてしまったのは最悪だった。
高市は安倍晋三と違って、国際情勢も軍事の現実もまるっきり理解していない。
東アジアでアメリカの軍事的プレゼンスが弱まるなら、核武装をすればいいと思っているお花畑だ。
僕は日本が自立するための軍事力拡大なら同意するが、現状での核武装は在日米軍に発射主導権を握られる「核共有」になるだけなので賛成できない。

そもそも核爆弾はその性質上、自国防衛のために使うことができない兵器だ。
つまり、自国に侵攻してきた軍隊の撃退には使用できないという難点がある。
現実的に核兵器を用いることができるのは、二つのケースに限られる。
ひとつは核兵器を持たない国に対して、壊滅的な攻撃をする場合。
もうひとつは敵国が核攻撃をしてきた時に、報復攻撃をする場合だ。
自ら戦争を放棄している日本に前者での使用はありえないので、報復攻撃のために核を保有するという動機になる。
しかし、報復攻撃のために核を保有して、敵国からの核攻撃を「抑止」するという発想は、
そもそも日本が敵国から核攻撃を受ける可能性があるという前提に立たなければ意味がない。
ここに僕は大いに疑問がある。
交戦を放棄している日本に核攻撃をしてくる国など、本当に存在するのだろうか。
仮に北朝鮮や中国やロシアが日本の米軍基地に攻撃を仕掛けるにしても、そのような局地的﹅﹅﹅攻撃において、核攻撃という手段を取ることにリアリティがあるだろうか。
仮に米軍基地に核攻撃をしたら、アメリカ本土か潜水艦から核による報復が行われるのだから、日本が核武装をする必要などない。
これが現実的なタクティクスなのではないか。
つまり、日本に核武装をする現実的な必要性が生まれる条件は、日本の本土から米軍基地が全く存在しなくなった時でしかないのだ。
こういう軍事的リアリティを考えずに核武装の議論をしても、「核を持っていれば他国と肩を並べることができて何となく安心」という心理的「お守り」のレベルにしかならない。

今や核兵器は威嚇と抑止の役割を終えて、威力を落として現実に使用を可能にする「戦術核」の時代になっている。
これが意味するところをハッキリ言えば、もう核兵器は役に立たない、ということだ。
「戦術核」の本質は廃品利用にある。
実際は別の兵器で代替できるところに、強引に核兵器を使っていこうということでしかない。
つまり、核兵器には保有している「ステイタス」以上の意味がない時代なのだ。
だから、核を保有していれば戦争を仕掛けられないわけではない。
(イスラエルは実質的な核保有国だが、イランから攻撃されているではないか)
たとえ戦術核を持つにしても、中国やロシアのように国土の広いところと打ち合ってどう勝つというのだろうか。
あっという間に日本の方が甚大な被害を被ることだろう。

今思えば、安倍晋三の外交姿勢は日本が置かれた状況をよく理解したものだった。
アメリカに対する従属姿勢を重視した上で、ロシアとの結びつきを強くしたり、二階派を通じて中国とも友好関係を持っていてバランスを取っていた。
それに対して高市はどうにも愚かすぎる。
ロシア・ウクライナ戦争によってロシアと友好関係が持てなくなったところで、対中敵視を明らかにしてしまったために、
将来的に東半球から撤退するかもしれないアメリカに従属する路線しか選択肢がなくなってしまった。

高市は選挙で歴史的大勝利をもたらした功労者のはずなのに、なぜか自民党は国会で高市の露出を減らすことに執心している。
これを批判する連中は、なぜこのような不自然な事態が起こっているのかがわかっていない。
高市人気が与党躍進の要因であっても、彼女にしゃべらせるわけにはいかないのだ。
高市にこれ以上中国との関係が悪化するような軽率な発言をされたら、対中関係の改善がますます困難を極めるからだ。
つまり、自民党全体﹅﹅としては、高市のような対中強硬ポピュリズムは現実において自殺行為だという認識を持っているということになる。
これについては、さすがに理性的な判断と評価するほかない。
(最近は政治ニュースを見ていないので、これは僕の個人的な推測でしかないが、
選挙で高市より「格上」の安倍の元側近たちが返り咲いたために、結果として高市の独走を止めることができるようになったのではないか)
その意味で首相の答弁の時間が少なかったり、首相への質問を他の大臣が答えたりすることに文句を言うべきではない。
むしろ、高市アンチの人たちは、嫌いな高市の出番が少なくなったことを喜ぶべきなのだ。

僕には右だろうが左だろうが、日本人の言っていることの多くが視野狭窄で的外れだと感じる。
高市が選挙で圧勝したという現実にリベラルは向き合え、などとメタ顔で語っているオタク批評家がいたが、
真に日本人が向き合うべき現実は、アメリカ中心のアングロ・サクソン世界支配の終わりという現実ではないかと僕は思う。
アメリカの情報技術や金融工学に対する過大評価も、危うい面があると考えた方がいい。
もはや、好むと好まざるとに関わらず、日本は自立しなければならないのだ。
すでに落ち目のアメリカから見限られているのに、日本がアメリカ従属ポチの天下になっているのは、
「頂き老婆(自称ブロンド美女)」に金だけ貢ぎ続けるマザコン男子のようで、あまりにみっともなくはないだろうか。

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