
エレベーターがひたすらに地下へと降っている。
ボタンを見るとB1Fまでしかないのだが、なぜかさらに下の階へと運ばれている。
いったい、このエレベーターはどこまで地下へと降りていくのだろう。
最下層でドアが開いたとして、その前にはどのような光景が広がっているのか、
ダンテと共に地獄めぐりへと旅立つような、言いようのない不安が背中をひたひたと上ってくる。
──高市内閣の誕生以来、僕を乗せたエレベーターの下降速度が上がった気がする。
日本が衰退し落ちぶれることは前々からわかってはいたが、
実際に落ちぶれた国で日々を過ごしていくことがどういうものなのか、
慣れてしまいそうで、慣れることが決してありえないような、底を想定できない地盤沈下の実態は、実際に体験してみるまでは想像できなかった。
しかし、とうとうそのような事態へと突入してしまったので、これまでの単に「落ちていく」という衰退局面とは決定的に違う「奈落」が見え始めている。
こんな「下降体験」と、僕たちはいつまで付き合っていかなければいけないのだろうか?