
松本人志氏が週刊文春の記事を名誉毀損として、賠償請求訴訟を起こしたことが話題だが、
自ら公的に説明する機会を作れる地位にある人が、記者会見を開いて反論するでもなく、
「事実無根」を主張して名誉毀損の裁判を起こすという態度は、あまり感心したものではない。
名誉毀損を裁判で争う場合、
たとえ書かれた記事に対して、訴えた側(原告)が「事実無根」だとか「誹謗中傷」「デマ」だと主張しても、
訴えた側は、書かれた内容が
真実でないことを証明する必要は全くない。
むしろ、その内容が真実であることを証明する必要があるのは、訴えられた側(被告)、つまり記事を書いた側になる。
だから、気楽な気持ちで訴訟を起こせるわけだ。
どうして証明の義務があるのは、名誉毀損で訴えられた側だけなのだろうか。
これは本当にフェアなシステムなのだろうか。
訴えた側にあまりに有利な名誉毀損訴訟のあり方には、無益な訴訟を助長する要因になりうるという点で大いに疑問がある。
(まあ、どんな訴訟であっても、弁護士にとってだけは有益ではあるわけだが)