
先日、夜のテレビニュースをつけたら「
電話恐怖症」が話題になっていた。
オフィスで電話対応をする時など、主に公的な場で見られるようだが、
程度の問題はあるにしても、電話をすることに不安や恐怖を感じること自体は、わりと普通の感性なのではないか。
若い世代ほど電話に対する苦手意識が高い、というアンケートも紹介されていたが、
これも年配者が電話応対の経験──「訓練」──を積んでいるために、苦手意識を持たなくなった結果と考えられる。
つまり、誰だって時に電話は怖いものであるし、「訓練」の賜物でそう感じなくなるだけのことに思えるのだ。
その意味で、「電話が怖い」という感覚自体は理解できるものの、それを「電話恐怖症」という言葉で表現したり、それをマスコミが広めていくことには違和感しかない。
そのニュースとしては、「苦しんでいる人」=「弱者」に寄り添っているつもりなのだろうが、
しかし、本当にその人が「弱者」と言えるのか冷静に判断する必要がある。
たしかに「電話恐怖症」の原因となるカスタマーハラスメント同然の迷惑電話を社会問題化することには価値があると思うが、
電話が怖いという
心理だけを過剰に正当なものとして扱うことには、大いに問題があると言わざるをえない。